・20年と10年の歩み 時が流れても変わることのない患者さんの望み

歯科医師となり20年が経ちました。

そして当院が2022年4月で開院10周年を迎えたこともあり私が歯科医師となってからの歩みを節目のこのタイミングでお話しさせていただきます。

 

顕微鏡を用いる精密な保存治療を学び、患者さんを笑顔にできた大切な体験

歯科治療が患者さんを笑顔にすることができると知る  歯科医師に求められていること

情報で満たされる症例写真を受診前に確認できる医院へ

かみ合わせの管理とインプラント・矯正治療への思い つぎはぎではなく20年後を見る治療

からだを守る歯周病治療  ネバネバ感や口臭、歯の喪失等原因菌へのアプローチ

患者さんを笑顔にできる医院をつくりたい。 MXTV”スーパードクター”への出演依頼

そして当院は2022年4月に10周年を迎えました 医院の課題と変わらないコンセプト

10年を経過し予防の大切さを身に沁みて理解をする

医療に携わる者として抱えるもの

 

 

顕微鏡を用いる精密な保存治療を学び、患者さんを笑顔にできた大切な体験

私は歯科医師となりすぐの東京医科歯科大学歯学部附属歯科病院在籍時に顕微鏡を用いる歯科治療に携わり、肉眼で行う治療との質の差を痛烈に感じ、顕微鏡や拡大鏡を用い歯を残すための治療をする歯科医師になりたいと思いました。

歯の感染が治らず”抜歯が必要”とかかりつけ医より言われ、藁をもすがる思いで来られる患者さんに顕微鏡を用いる歯科治療を行うことで抜歯せず歯を残せることが多々あり、失うことを覚悟していた患者さんの治療後の喜びが自分のことのように嬉しく感じました。

 

歯科医療でも人を笑顔にすることができる。

歯科医師になり間もなくそのような素晴らしい瞬間と出会えたことが、”歯を残すことにこだわる治療を行いたい”という現在につながっています。

 

歯科治療の質で歯の寿命が変わることを理解したことで拡大視野下での歯科治療をこの20年間研鑽してきました。

歯の寿命を可能な限り延ばすため顕微鏡や拡大鏡を日々使用しており、職人さんの大切な道具のように私にとって顕微鏡等は精密な診療に欠かすことができないものとなっています。(基本的に保険外治療に顕微鏡や拡大鏡を使用していますが信頼してくださっている方、長く通院してくださっている方にも使用していることがあります)

むし歯治療や根管治療などの保存治療に特にこだわりを以ち、神経を残すため、歯を残すための治療を行えるよう治療の質を更新をし続けています。

 

 

 

歯科治療が患者さんを笑顔にすることができると知る   歯科医師に求められていること

私は左利きということもあるからか三次元の空間を把握することに長けていると感じています。

歯科治療において立体的なイメージはとても重要で、左右対称性や歯の形を再現するためのイメージは治療の質だけではなく治療後の笑顔にも大きな影響を与える力です。

また、手が小さいため(ゴルフのグローブは21センチ)お口の中の治療を受ける患者さんにとって負担が少なく済み、顕微鏡や拡大鏡を用いる細かい治療が好きで得意なため、歯科医師は私にとって天職と感じています。

 

 

精密な歯科治療を行うにあたり患者さんとお口の中の状態を術前術後で共に確認をしていますが、やはり歯科医師になり間もない時期に前歯の治療を行ない、綺麗になったと治療後に心から喜んでもらえた瞬間がありました。

今でもその方の表情は覚えています。

 

歯を残すということで患者さんを笑顔にできる。

それと同時に、歯は笑顔の一部であるため修復物の色が合わない、前歯にコンプレックスがある、などの困られている方がたくさんいることを知り、歯科治療の奥の深さを実感しました。

 

ただむし歯を治すのではなく、ただ白ければ良いのではなく。

歯や神経を残す治療であり、かつ清潔で自然な美しさを回復させる治療を患者さんは望んでいる。

歯科医師に求められる望みに触れ、患者さんの笑顔をサポートできる歯科医師をより強く目指すこととなります。

 

 

どうすれば一般歯科医ではなく困られている患者さんの助けとなれる歯科医師になれるのかと常に危機感を持っていました。

顕微鏡や拡大鏡を用いる歯科治療を磨きながら、幸いにも総合的な歯科治療において歯科界をリードする師に出会うことができ、長きに渡り最先端の歯科治療を学ぶことができました。

 

歯科治療に全力で取り組みながら、”可能な限り自然な、歯を生かすための修復を行うこと。結果、患者さんから得られる笑顔を歯科医師として生きる糧としよう”という思いが確立しました。

その思いが強くなったことで開院へと至ります。

 

 

 

情報で満たされる症例写真を受診前に確認できる医院へ

当院の特徴として症例写真があります。

多くの歯科医院があっても症例写真をホームページに載せている医院は都内でもまだ限られます。

(100件中5件あるかないかと感じています)

精密な歯科治療やマテリアル、接着、かみ合わせや歯並びなど全体的なバランスの意識が揃わなくては1本の歯でも調和した自然な完成をつくることは困難です。

症例写真では歯科医師の技術や知識、審美的な感覚等が明確に表されるため、どのような治療を受けられるのかを患者さんが受診前に知ることができる有効な情報です。

 

 

”セラミックスで治すこと=自然で綺麗” ではありません。

当院では歯を白くするためにセラミックス治療を行うのではなく、歯を、神経を生かすことができるよう精密な歯科治療を行うことを目的とし、付加的に自然で綺麗という完成を目指しています。

 

症例写真の更新や書き続けたブログ、Instagramに評価をいただき、単色のように色が浮く、形や厚み、長さが調和していないなどのセラミックスの再治療や、歯のための精密な審美治療を希望される患者さんに通っていただく医院となりました。

 

 

この20年で歯を隠して笑っていた方や銀歯を気にして笑っていた方の笑顔が変わる瞬間にたくさん出会うことができました。

 

歯を気にしない患者さん本来の自然な笑顔は、素敵な出会いをもたらすかもしれません。

家族との大切な写真・瞬間がより輝くものと感じられるかもしれません。

歯は自己管理の一部とも見られるため、あの人のような上司になりたいと思われるかもしれません。

 

治療により素敵な笑顔を見ることができた経験から、患者さんの笑顔は歯科治療によって変わり、その方の人生をも変える可能性がある。

そう認識しています。

 

歯を気にすることなく自然な笑顔で食事や生活をしてもらえることにより、私は歯科医師として喜びに満たされます。

とてもハードルは高いですが、患者さんと笑顔を見ることを目標として歯科治療に取り組んでいます。

 

 

 

かみ合わせの管理とインプラント・矯正治療への思い つぎはぎではなく20年後を見る治療

当院では歯科治療だけではなくかみ合わせも診ています。治療を繰り返し受けている方や歯を複数本数失っている方は自覚がなくともかみ合わせに問題を抱えている場合が多々あります。

むし歯を治しているだけでは歯を守ることができません。

かみ合わせによるバランスの維持や咬める場所の確保、本来のかみ合わせの回復、かみ合わせの力のコントロールも合わせて行っています。

根管治療、神経を残す治療、歯周病などの1本1本の矢が合わさることが、歯を守る総合的な歯科治療という折れにくい矢をつくることとなります。

一つの得意な診療に特化するのではなく、幅広い診療において質を上げることで大切な歯を守っていきたいと思っています。

 

 

咬める場所の確保のお話をするとインプラントにも触れなくてはなりません。

都内在住の方は周りや身内の方から”インプラントは止めておいた方がいい”というアドバイスがあったりすることで、インプラントに否定的な思いを患者さんからよく伺います。

否定的な理由として、知人にインプラント手術で事故があったから、高額な契約を強く勧められたため不信感、デメリットの説明が一切なかった、かかる費用が明確でないということや手術が恐いということなどの意見を耳にします。

 

私たちのインプラントへの考え方は、自身が必要になった際に受けたいインプラント治療を患者さんに提供するということです。

日々診療をしていてインプラントを10〜20年前に受けている患者さんも増えました。

咬めるようになり喜んでいる方もたくさんいらっしゃいますが、前後の歯と比べ歯槽が痩せるため物が周囲に溜まる、インプラント用のメンテナンスが必要、マウスピースをした方がよいこと、インプラントの隣の歯を失った際には自分の歯とブリッジを基本的にはしないためインプラントを継ぎ足すこととなることを聞いていなかったなど、後からネガティヴな思いをされる方も多々います。

また、数年が経ちインプラント周囲の歯肉や骨が傷みインプラト(ネジのように見える)が口の中に露出している、インプラント上部のセラミックスが欠けて対応が難しい状態など、患者さんは後で困られている場合があり、長く良い状態で管理することの難しさも感じています。

 

インプラント治療を受けるということは私自身がレーシック治療を受けることと似ていると思います。

大切な目を任せるにあたり信じる医院と出会えるのか、しっかりしたことを適切な金額で受けることができるのか、レーシックに適応する状態なのか、無理やリスクの高いオペではないのか、先のことまで考えていただけるかなど様々なことを考えると思いますが、やはりどのような医院で治療を受ければよいのかわかりません。

 

自身が受けたいインプラント治療を提供するために行っていることとして

・デメリットは考えられることをできるだけ伝えています。インプラント治療は押し付けられるものではありません。公平に他の選択肢と共に説明をし、それでも希望される方にインプラント治療を行っています。

・インプラントを希望される患者さんにはインプラントを専門とする、歯科医師を教える歯科医師に手術を多くの場合で依頼しています。都内のこのような場所ですから患者さんの安心を考えれば事故の可能性が限りなく少ない安心なインプラント治療を受けてもらえる環境としています。

・インプラントはあくまでお口の全体的な健康維持に必要な要素の一つです。かみ合わせや歯周病の有無、残る歯の状態なども含めた、総合歯科治療の一部です。インプラントをつぎはぎのようにするのではなく20年、30年先の状態を診て今から対応する総合的な歯科治療を行っています。それがインプラントを長持ちさせることにつながります。

・インプラント治療は完成したら終わり、ではありません。長くインプラントを維持するためにはインプラントのためのメンテナンスやかみ合わせのフォローが必要であり、インプラント治療終了が新たなスタートと思っています。

 

どこでインプラント治療を受ければ良いのかわからない。そう思われている患者さんは多くいらっしゃいます。

人の相性もあり、歯の状態もあり、私たちが全ての方のあらゆる要望に応えられる訳ではありませんが、不安を感じられている方のサポートをできる医院でありたいと願っています。

信じてくださる方に長く、気持ちよく笑い、食事を楽しんでいただけるよう、医院と二人三脚のインプラント治療を提供できるよう努めています。

 

 

また、矯正治療にもかみ合わせが深く関係します。

歯並びが綺麗であってもかみ合わせが不良な状態では歯の寿命や日々の食事に問題が生じます。

当院では私たちの子どもの矯正治療も任せる、矯正を専門とする歯科医に矯正治療をお願いしています。

総合的な矯正治療を行っていますので興味をお持ちであれば治療前提ではなくお声がけください。

 

 

 

からだを守る歯周病治療  ネバネバ感や口臭の原因へのアプローチ

日々診療をしている中で、初診来院される患者さんの多くがご自身の歯周病の状態を理解されていません。

歯周病は現在、歯や口の健康だけではなく全身にも影響を与えることがわかっています。

むし歯を治し、クリーニングをしているだけでは(上記のインプラント治療のようにあらゆる治療分野による総合的な歯科治療が歯を守ることにつながるため)再治療を繰り返したり歯周病が進行することで少しずつ歯を失っていく現状を変えることにまでつながらない方が多数いらっしゃいます。

 

歯周病の進行は口臭や歯が抜ける原因となるだけではなく、血管内に菌が侵入する歯原性菌血症により認知症や脳梗塞、心筋梗塞や糖尿病にも影響を与えるということが分かっています。

当院では保険にて歯周病治療を行っていますが、口腔内細菌治療という悪玉菌DNA検査を行いその菌に対応する治療も行っているため、歯周病で悩まれている方にとって数段異なるレベルで改善を行うことが可能です。(多くの方が劇的な改善を実感されていますが、この治療法が適応かどうかということがありますので治療前提ではなくご相談ください)

 

歯周病原因菌にアプローチをする除菌治療は口腔内細菌治療として当院では行っており健康寿命を延ばすことにつながる、多くの方にとても有効な治療法であるため、歯周病で困られている方には担当する衛生士も勧めたいと思う治療法です。ただ、押し付けることはありませんので興味を持たれることがあれば担当にご相談ください。

 

歯を失う原因はむし歯だけではありません。

歯周病、かみ合わせ、間食等生活習慣など患者さん個々でリスクは異なります。

当院では保険で認められる歯周病重症化予防やむし歯進行抑制など、その方の状態に合う予防や治療を受けていただくことが可能であり、日常をより豊かにする歯周病菌に対する治療を行えることも当院の大きな特徴です。

 

 

 

患者さんを笑顔にできる医院をつくりたい。 MXTV”スーパードクター”への出演依頼

私たち自身が通いたい医院をつくるために開院しました。

様々な治療において症例写真を載せることで自身にもプレッシャーをかけながらそれを乗り越え患者さんを笑顔にしたいと思い学びを続けながら診療をしてきました。

開院当初から症例写真を載せる医院であったため困られている多くの方に来院していただきました。

開院3年目の頃には歯を抜きたくない、綺麗に治したいけれどもどこで治してよいのかわからないといった難しい状態の方々にご紹介により頼っていただくようになり、喜びや安心を提供できるよう努めてきました。

 

そして開院8年目にMX テレビの”スーパードクター”という番組への出演依頼を受けました。

当初は当院の特徴である精密な歯科治療・審美治療を番組の主たる構成と考えていたとのことでしたが、多くの病院・医院に携わる制作側から当院は診療理念を取り上げるべきとのことで主にそのような内容にて2020年2月に放映されました。

放映により通っていただいている患者さんからたくさんの応援や喜びの言葉をいただきました。

既に予約を取りやすくはない状況でしたので、私にとっては宣伝ではなくスタッフのためという思いがあり受けさせていただきました。

お引っ越しをされる患者さんへ”にも書きましたが、医院の空気は患者さんが安心できるかどうかにつながります。

スタッフにとって仕事をするのが当たり前でも仕事はさせられるものでもない。自分次第で同僚スタッフも患者さんも笑顔にできる。人の健康に関わる仕事であり、みんなで全力で最善を尽くそう。 スタッフにもそのような思いをもって仕事を、と伝えていることがあり、歯科医療という仕事に自信や誇りを持ってもらうきっかけとなればと考えていました。

結果、スタッフだけではなくスタッフの家族にも喜んでもらうことができ、また、医院にとって医療コンセプトをまとめるきっかけにもなりとても良い経験となりました。

 

 

 

そして当院は2022年4月に10周年を迎えました 医院の課題と変わらないコンセプト

スタッフも増え、予約をとりにくいこともあり医院運営に至らないことが多々あります。

そして、信じてくださる方に歯の状態により応えることができない場合もあります。

 

それでも皆様からご理解をいただき、笑顔で来院してくださっていることに感謝しかありません。

ありがとうございます。

 

信頼してくださる方に応えたい。

常にそう思っています。

歯を可能な限り良い状態で残し、かつ自然で嬉しいと喜んでいただける治療の研鑽・学びをこれからも続けます。

 

そして患者さんを笑顔にしたいという思いと同様に、支えてくれているスタッフの笑顔を大切にする医院をこれからも目指し続けます。

 

重ねてになりますが、至らないことは多々ありますが今後も皆様の20年後を考える治療に全力で努めます。

どうぞ宜しくお願いいたします。

 

 

 

10年を経過し予防の大切さを身に沁みて理解する

開院以来、20年先を見る歯科医療を提供したいと思い日々診療に取り組んできました。

2012年にいらしていただいた方にとっては10年が経過します。

 

初診時には複数本数のむし歯があり治療が必要だった方、銀歯を全て歯のために取り替えたいという希望があった方、保険で治したけれどもやはりセラミックスに取り替えたいという方、抜歯や神経をとると宣告された方など多くの患者さんを今まで診させていただきました。

全体的な治療を受けた方の多くに、治療が終わりではなく今でも歯周病の重症化予防やむし歯の進行抑制等で継続して診させていただいています。

定期的に診させていただくことで再治療や新たなむし歯が9年間ない方も多く、喜んでいただけているだけではなく、行った治療の質をフィードバックできることでより良い治療を行うための学びを得させていただけていること、また、その方の抱えるリスクや傾向を知ることでより有効な予防を行うことができています。

 

治療後に新たなトラブルがなく歯を気にすることなく生活していただいている方は多く、継続してお口の健康を管理するということの大切さを身に沁みて感じています。

前向きに通っていただける医院となれるよう、今後も医院の更新に努めます。

 

 

 

医療に携わる者として抱えるもの

この10年、20年で得られた患者さんの笑顔を忘れることはできませんが、応えることができなかった患者さんの状態も忘れることができません。

歯の状態にもよるため一人ひとりに全力で取り組んできましたが全ての方に応えることができた訳ではありません。患者さんに最善を提供するため全てを抱え込むのではなく必要に応じ医療連携も行い、より良いことをできないかと学び研鑽を続けてきました。

医療に携わる者として患者さんの日常を考えながらこれからも多くのことを背負い続けながら進まなくてはなりません。

 

出来ることを全力で行うために予約制にて診療を行っています。

毎日多くの患者さんの健康を預かり、途切れることなく集中する時間が続くことで精神的にも疲れることがあり、大変な時も正直あります。

それでも困られている方がいて、信頼して助けを求めてもらえることが医院や自身の存在意義であると理解しているからこそ日々懸命に診療に取り組むことができています。

 

長く前向きに通っていただける医院をつくることがこれからも常に目標です。

”大切な歯を任せて良かった”

10年後か20年後か。いつかそのように言っていただけるよう今から一つひとつの治療に全力で取り組んでいます。

これからも多くの方を笑顔にすることができるよう努めます。

どうぞ宜しくお願いいたします。

 

2022年 4月  髙橋 大輔 和子