Archive for the ‘症例集’ Category

・奥歯ダイレクトボンディングに保証がない理由について

2023-09-01

ダイレクトボンディングは適応を限って当院では行なっています。

 

下の写真のように歯間部にかかる治療部位に行う当院が考える最善の治療はダイレクトボンディングではなく、再治療を先延ばしするために行うセラミックス治療です。

特に奥歯において神経を可能な限り失いたくない、歯を持たせたいと考えられる方にはダイレクトボンディングではなくセラミックスによる治療をお勧めしています。

 

なぜなら、ダイレクトボンディングはセラミックスではなく、あくまでプラスチックだからです。

 

文京区豊島区茗荷谷千石高橋歯科クリニック文京

 

この患者さんは3年前にダイレクトボンディングを15万円をかけて他院で受け、それが欠けてしまったために初診来院されました。

手前の歯と合わせて2本にダイレクトボンディングにて治されたそうですが治療直後から奥歯との間に食べ物が詰まりフロスがひっかかる状態だったとのことです。

 

 

このように歯間部の歯の形が失われている場合にダイレクトボンディングを行うと欠ける、すり減る、フロスがひっかかる、食べ物が詰まるなどのことが起こりやすく、結果長持ちせず再治療が必要となってしまう場合があります。

今回も咬む力で接着が緩んだかフロスをしにくいことで修復の周囲からむし歯になったかで結果的にむし歯をとることでむし歯治療をしなくてはならない状態でした。

 

歯や神経を残したいという思いがあり当時ダイレクトボンディングを選択されましたが、大きく欠けた奥歯だけではなく手前の歯のダイレクトボンディングも一部欠けフロスがひっかかる状況となっていたため、今回は”再治療を先延ばしすることで神経を守る”という目的をもってセラミックスインレーによる治療を希望されました。

 

 

→  ダイレクトボンディング 審美用強化プラスチック治療

上ページに奥歯ダイレクトボンディングなどの症例写真をあげているので宜しければご確認ください。

 

 

セラミックス治療との違い

ダイレクトボンディングは最小限ですむという聞こえが良い治療ではありますが、奥歯で用いれば噛む力によりすり減りが生じ、強度の高いセラミックスに比べ欠けやすい治療法でもあります。

フロスが引っかかる、お肉などが歯間に詰まるなどの完成となればケアをしにくい環境によりむし歯の再発が生じ再治療が必要となることが考えられます。

 

口の中でプラスチックを整形し歯の形をつくるダイレクトボンディングに対し、セラミックスインレーは歯型をとり口の外で天然歯を再現するようにつくったものをはめ込むという治療であるため材質的に優れている上にフロスによるケアをしやすい環境をつくれるため、欠けにくく清潔であり再治療や神経喪失を遅らせること、歯の寿命を延ばすことにつながります。

また、当院のセラミックス治療では強固な接着法を用い、精度の高い治療を行えるよう努めていることも歯の寿命に貢献することとなります。

上の写真のように歯と歯の間の形が失われている場合には当院ではダイレクトボンディングと比較して長持ちするセラミックスインレーによる治療を推奨しています。

 

他院での奥歯ダイレクトボンディング5年経過症例

文京区豊島区茗荷谷千石高橋歯科クリニック文京

このつぎはぎのような状態になっているのが5年前に他院にて20万円をかけ治したダイレクトボンディングです。現在はフロスもひっかかりが生じ治療が必要となる状態でした。

ダイレクトボンディングはその時に”最小限で済む”という聞こえは良い治療ですがフロスがひっかかる、ねぎやお肉などの食べ物が詰まる、フロスをすると血が滲む、結果むし歯になる、材料的にもセラミックスに比べ弱く摩耗や欠けが生じるなど再治療が短期間で必要となる場合があります。

再治療を可能な限り先延ばしすることが歯を残すことにつながるため、当院ではセラミックスによる治療に比べ耐久性が低くトラブルが生じやすい奥歯でのダイレクトボンディングはお勧めしていません。

 

 

奥歯ダイレクトボンディングの保証について

上記理由にて当院ではセラミックス等の精密な歯科治療と異なり、ダイレクトボンディングに関しては奥歯に限り保証を行っていません。(ただし奥歯でもトンネリングで済む場合や咬合面のみなどダイレクトボンディングでも有効な歯の状態があるため、通っていただいている患者さんにダイレクトボンディングが有効である場合には保証することも相談の上で提案しています)

 

セラミックスの治療やジルコニア、ハイブリッドという強化コンポジットレジンなどの歯を残すための審美治療を長く行ってきた結果、奥歯の歯や神経を残す治療には再治療を先延ばしするためのセラミックスによる治療が最善と考えています。

 

 

 

 

初診問い合わせについて

初診での”奥歯ダイレクトボンディング希望”という問い合わせについては歯の状態を限って行っているため状態を確認しなくては答えることができませんし、できるできないではなく長期的に歯を残すためになにができるのかを考え診療を行っているため受診されても歯の状態により当院では応えられない場合がありますので予めご了承ください。

奥歯のダイレクトボンディングに強い希望がある方は保証のある他院受診をお勧めします。

 

 

通院されている患者さんへ

再治療が必要となれば治療費や受診が必要となり、歯もダメージを受ける状態となってしまいます。

今回の治療が全てではなく長期的な視野にて治療法を選択していただいている理由は、歯を失うことが極力なく80歳を迎えてもらいたいと思っているためです。

治療の際にはセラミックスだけではなく他の治療法も合わせメリット・デメリットをフェアに説明し、条件があえばダイレクトボンディングも選択肢として提案をし歯を残すことができるよう努めています。

 

 

とても過酷な環境にある修復物

口の中にある修復物は噛み締める力がかかり、唾液や菌に常に晒されている過酷な環境にあります。

治療を受ければ長持ちすることが当たり前ではありません。

だからこそ治療が必要な歯に対して最善を行い、また、むし歯のなりかけを治すことがあればそれが数年後には再治療が必要となってしまうためかかりつけ機能強化型歯科医院として少しでも長く自分の歯を削らずにフォローするということを行っています。

つまり歯を残すために当院は治療を主に行う医院ではなく、精度の高い審美治療と保存治療による総合的な予防に取り組む医院を目指し続けています。

 

 

歯の状態にもよるため私たちに任せたら必ず望まれる結果が出るというものではありません。

当院では患者さんの大切な歯を20年後に少しでも良い状態で残すため歯の状態、できること、できないこと、治療選択肢を説明し患者さんと歩む治療を提供することができればと思っています。

 

・一般歯科との連携により上がる、矯正治療の質

2023-08-20

当院は歯を保存する治療や審美治療を得意とする医院です。

そして歯周病、インプラント、かみ合わせなども含めた総合的な歯科治療を行う医院として診療を行っていますが、全てを抱え半端な治療の質を提供するのではなく専門性の高い矯正治療は矯正を専門とする歯科医に治療を依頼することで当院内にて矯正治療も提供しています。

 

まずは一般歯科治療も行う当院にて矯正治療を受けるデメリットを説明します。

それは矯正治療日が月に5日であることにより予約をとりにくいと感じられる可能性があるということです。

多くの矯正患者さんに通っていただいていますが、口コミに主観で書かれたような予約状況ではありません。

予約をとりにくいかどうかは矯正相談や受診時にどれほどのペースで患者さんが通われているのかご相談、ご確認ください。

 

 

では当院で矯正治療を受けるメリットはなにかということをお話します。

1 矯正を担当する歯科医だけがゴールを決める訳ではないということ。

2 矯正治療との連携による抜歯や治療を受けられるということ。

3 矯正治療後に精密な審美治療を受けられるということ。

4 矯正治療中には必須となるむし歯・歯周病管理を矯正治療と並行して受けられるということ。

5 矯正治療を月に5日行っているということ。

6 必要以上に長引かせることのない治療期間であるということ。

7 信頼して任せる矯正を行う歯科医が担当するということ。

8 質問・相談できる環境であるということ。

が挙げられます。

 

当院で矯正治療を受けるメリット

1 矯正を担当する歯科医だけがゴールを決める訳ではないということ。

時間をかけて矯正治療を受け歯並びがきれいになったけれども噛みにくい、前歯で噛み切れないなどの訴えにより再治療を受ける方がいます。  → 万能ではないマウスピース型矯正治療

矯正治療では審美的な要素だけではなく、本来かみ合わせの質も求められるものです。

矯正医がどのようなゴールを設定するかにより、かみ合わせも含めた矯正治療の質は変わります。

 

どの組織においてもワンマンよりも風通しが良く様々な人の目が入り意見を集約できる組織の方が質が高まる場合が多いことと同様に、当院では私たち一般歯科も関与することで良い意味で互いに緊張感を持って最善を提供することができるように努めています。

つまり歯並びの改善だけではなく、歯を残しやすい環境をつくるためにもかみ合わせも含め私たちがチェックできることが患者さんをより良いゴールへと導くこととなります。

矯正治療を受ければ全てが改善するとは限りません。

歯科医師、矯正医、衛生士という様々な視点から患者さんを診ることで矯正治療の質を高めているということが当院で行う矯正治療の最大のメリットです。

 

 

2 矯正治療との連携による抜歯や治療を受けられるということ。

矯正治療では抜歯が必要となる場合があります。

誰にとっても抜歯は怖いものです。特に中学生、高校生にとっては尚更です。

”治療費について”にも書いていますが当院では矯正医と連携することで患者さんに負担の少ない便宜抜歯を行うことが可能です。

抜きやすい状態をつくり抜歯を行うため、抜歯にかかる時間が短く済み患者さんが抱える不安を軽減することが可能です。

かつ周りの歯や組織に与えるダメージを可能な限り少なく済む抜歯を行えるよう矯正治療と連携をとれる環境です。

(他院での矯正による便宜抜歯では同様の内容での抜歯は行うことができませんので予めご了承ください)

 

 

 

3 矯正治療後に精密な審美治療を受けられるということ。

矯正治療後は患者さんが整った歯並びを嬉しい気持ちで鏡で確認する機会が増えます。

その時に気づきます。

”この銀歯がなくなったらもっと歯を気にすることなく笑える”

そのため、矯正治療を受けた方の多くが矯正治療後に銀歯をなくす審美治療や前歯のセラミックスの再治療を希望されます。

当院では審美治療という言葉を使っていますが、内容としては極力神経を失わない、歯を失わないための”歯を残すという目的を持つセラミックス治療”を行っています。

整った歯並びやかみ合わせを活かし維持するためにも不適合で審美不良の銀歯ではなくセラミックス治療を希望される方が多いため、当院では矯正後フォロー下での連携した精密な審美治療を受けていただける環境です。

 

 

 

4 矯正治療中に必須となるむし歯・歯周病管理を矯正治療と並行して受けられるということ。

矯正治療中は装置が入ることにより歯をみがきにくい環境となります。

そのため、矯正装置が外れたけれどもむし歯がたくさんできていたため治療をしてほしいという初診来院の方が多くいらっしゃいます。

当院では矯正治療と連携をとり、衛生士によるケアの仕方の確認やむし歯、歯肉炎、歯周病進行抑制のための口腔内衛生管理を受けていただける環境です。

 

矯正治療だけではせっかく矯正が終わっても銀歯が増えてしまったなど、満足度の高い完成とならない場合があるため、歯並びだけではなくかみ合わせやむし歯、歯周病等の管理も受けていただけることが当院の大きなメリットと考えています。

 

 

 

5 矯正治療を月に5日行っているということ。

一般歯科を行う医院での矯正治療は多くの医療従事者の目が入ることで手抜き等のない”総合的な歯科治療”につながるということをご理解いただけたかと思います。

当院では2012年の開院以来、精密な審美治療や衛生士によるフォローを矯正治療と連携をとり行える環境をつくってきたという実績があります。

そのため当院にて矯正治療を希望していただける患者さんが多く、現在も矯正治療日を増やすことができないか交渉中ですが、月に5日矯正治療を行っています。(一般歯科医院での矯正治療は通常月に1、2日です)

 

矯正治療のみを行う医院と比べると5日しかないと感じることと思いますが一般歯科医院で矯正治療を月に5日行っている医院は稀であり、矯正治療中の急患にも対応しやすい環境です。

(矯正の永井先生が急患となることが極力ないよう治療に取り組んでいることもあり、矯正治療中の急患は多くの患者さんがいる中で2ヶ月に1件あるかないかです)

ただ、5日の診療日があっても予約をとりにくいと感じさせてしまう状況と考えられます。

予約の管理は常に課題ですので改善できるようこれからも努めますが、予約のとりやすさを最優先に考えられる方にとって当院は合わない可能性があります。

長くかかる矯正治療だからこそ、矯正を担当する歯科医との相性や考え方も含め当院でも当院以外だとしても納得する環境での受診をお勧めします。

 

 

6 必要以上に長引かせることのない治療期間であるということ。

矯正治療は少しでも期間が短く済むことが患者さんの願いです。

治療期間が長ければ装置で磨きにくい環境や、ワイヤーによる矯正であれば異物感、審美障害が続き、かつ受診のために貴重な時間を使い治療費もかかるからです。

 

当院は矯正の予約もとりやすい訳ではない状況もあり、1人の患者さんにとって治療期間が短く済み、受診回数が少なく済む治療を意識しています。

それは患者さんにとっても医院にとってもwin-winとなります。

患者さんの  ”必要最小限での期間”  かつ  ”しっかりとした内容での矯正治療を受けたい”  という希望に応えられるよう、保定期間中の受診など患者さんに応じてではありますが可能な限り来院回数が多くなく済むように努めています。

 

つまり、ゴールや進捗は説明を行いながら、必要以上に患者さんに長く受診させるということはありません。

そして、早く終わらせるために無理をするということも医院として行っていません。

 

長くかかる矯正治療ですから途中で疑問を生じさせてしまうこともあるかと思います。不安を抱えたまま過ごすのではなく適時ご相談ください。

矯正治療後の笑顔を楽しみにしてこれからも患者さんの様々な要望に応えることができるよう努めます。

 

 

 

7 矯正を専門とする歯科医に治療をお願いしているということ。

矯正を担当するの永井先生には私たちの子どもの矯正治療もお願いしており、信頼する先生です。

矯正治療は特殊な分野のため矯正治療は矯正を専門とする歯科医にお願いしています。

 

開院以来、多くの方が矯正治療を受け卒業しました。

そして矯正治療を受けた方の兄弟や姉妹、お母さんなどのご家族が私もきれいにしたいと治療を受けていたり、大切な方をご紹介いただいたり、矯正治療においても実績を重ねてきました。

患者さんが多く予約をとりにくいと感じられることがあるもしれませんがと思いますが、矯正治療と連携をして健康的で美しい完成を提供できるようこれからも努めます。

 

 

8 質問・相談できる環境

小児、成人矯正、マウスピース矯正ともに進捗状況には個人差がある場合があり、途中で質問をしたいけれどもや先生に直接は聞きにくいという思いをされる場合があります。

 

皆さんにとって、少しずつ綺麗な並びとなっていく矯正治療がより前向きなものでありますように。

そのためにも期間がかかる矯正治療中に不安や疑問を可能な限り抱えさせないということが大切と考えているため、当院では相談をしながら矯正治療を進めることで一方通行とならないよう意識をしています。

 

そして当院にて矯正治療を受ける大きなメリットは矯正を担当する歯科医や担当医だけではなく、担当する衛生士がいてより相談しやすい環境にあるということです。

 

 

開院以来矯正治療に関わってきたことで、患者さんにとって望ましいゴールを目指すためには矯正治療だけではなく衛生士と担当医、患者さんとの協力が重要になると実感してきました。

ただ、担当や医院との相性の良し悪しや、予約優先への思いなど患者さんが望むニーズは様々です。

当院に任せていただけることがあれば総合的な歯科治療により笑顔で治療の完成を患者さんと喜びたいと思っています。

 

 

 

・セラミックスの質に関係する支台歯形成

2023-07-23

前歯の治療においては長持ちを目的とするだけではなく、審美的に喜んでいただける質も求められます。

長持ちに影響するポイントとしては

・再根管治療の場合に歯に致命的なダメージを与えないようコアを除去する

・根管治療の質

・歯周病の治療 歯肉の炎症のコントロール

・歯の破折・抜歯を極力防ぎ、また、刺青のように歯肉が暗く見えるようになることを防ぐため、メタルコアではなくファイバーコアを用いる

・支台歯の適切な形成

・適切なかみ合わせの調整

が挙げられます。

 

ここでは支台歯形成について説明をします。

 

支台歯とはクラウンを支える歯のことであり写真のような状態を言います。

 文京区豊島区茗荷谷千石歯医者高橋歯科クリニック文京

セラミックスクラウンの長持ちに支台歯の形がなぜ関係するかというと、この支台歯の長さが短ければ噛む力を受けクラウンはゆるみ外れやすい完成となるからです。

セラミックスを支える支台歯が低い場合と、高さを十分に確保している場合とで外れにくさは変わるのです。

仮歯やクラウンが緩み外れてくる際には支台歯が短い、適合不良などの理由によりはまりが弱い可能性が考えられます。

(ただし支台歯の隣の歯も軸は傾き少し先端が欠けているように、かみ合わせ等も関係するため支台歯の形や高さも制限を受ける場合はあります)

 

 

また、色が合わないセラミックス、厚みがあり歯並びが揃わないセラミックスの多くには支台歯の形に問題があります。

高橋歯科クリニック文京

このセラミックスは歯の軸が反対のねじれのある前歯に合わせハの字のように開いた完成であり、かつ厚みがあり色は浮き、三角形のような形に見えています。

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セラミックスクラウンを除去すると、クラウンはこの支台歯の向きに合わせてつくられたことが分かります。

高橋歯科クリニック文京

特に前歯の治療においては症例写真にて受診前に治療の質や歯科医師の審美的な感覚を確認することが患者さんにとって治療の満足度を上げることとなります。

私は治療を開始する際にこのような並びが綺麗という完成イメージをまず確認し、セラミックスを除去すると同時に仮歯にてだいたいの完成形を患者さんと共有します。

この方は前歯が両方とも捻れる形よりもセラミックスにて他の歯と並びを揃える方が前歯の違和感を薄めることになるのでこのような並び・最終形を仮歯を用いて提案をし、確認していただいた上で根管治療を行いセラミックス作製を行いました。

(もちろん矯正治療も行うことがより望ましい完成をつくることができますが以前のブログにこの方のケースを書いたように患者さんは矯正治療までは望んでいませんでした。歯根の軸も確認をし歯の破折が起きにくい完成をつくれるよう努めています。)

 

 

下の写真はこのページ上部にある支台歯の歯型を側面から見た写真です。

支台歯と支台歯の奥に見える歯はちょうど上のセラミックスと同じ位置、つまり上顎正面の前歯のものです。

支台歯の形はセラミックスの強度を確保した上で色をつくるため、天然歯の相似形と近い形になります。

左側の黒い線が天然歯の表面ですからセラミックスの形、厚みや色を逆算し右側の黒い線に支台歯の形態を整えています。

例えば支台歯が赤い線のような削り方であった場合には、完成するセラミックスは必然的にオレンジの線で示す厚み、形となるため、セラミックスの歯だけが前に出ているような完成となってしまいます。

つまり、仮歯ですでに厚みがある場合にはこのように支台歯に調整が必要であるということを意味します。

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仮歯の重要性について前回のブログで説明をしましたが、支台歯の形により完成するセラミックスの持ちや厚み、色、軸、形は変わります。

ただ、形や色をつくるためセラミックスに自由を与えようとすると支台歯は小さくなりやすく脱離の原因となりますし、長持ちを考え支台が少しでも大きければセラミックスを天然歯に近い形ではつくれず、つまり色をつくりにくく形も大きく厚みが生じ並びがずれることにつながります。

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上記のようにもし支台歯が右側の青い線のように小さければ左側の青い線のように形は天然歯に合わせつくることができますがクラウンを支える支台歯が短いため脱離しやすくなってしまいます。

仮歯が頻繁に外れることがあればこのような理由が考えられるため、完成したセラミックスが脱離しにくいようコア・支台歯の形を修正する必要があります。

 

仮歯にて厚みや並び、歯の大きさ、軸、とれやすさ、表情の一部として機能しているのかを確認しなくては”喜んでいただけるようなセラミックス”をつくることは難しいと思っています。

セラミックスの質を仮歯が表すと説明をしましたが、仮歯が調和するものであるためには支台歯形成の質が重要となるのです。

 

 

治療の理想は天然歯を再現するようなサイズ、軸、色のセラミックスをつくることです。

そのためには完成から逆算する支台歯形成と仮歯での完成形の確認だけではなく、長持ちをさせるための根管治療やかみ合わせ、歯周病治療、シリコン印象による精密な型取りにも質が求められます。

 

 

歯科治療はとても難しいものです。

調和する完成を求めるには高いレベルでの3次元的なイメージ、そしてそれを実行する技術やテクニックも必要とされます。

 

このような前歯の審美には多くの方が困られています。

セラミックス治療は患者さんの日常をより豊かにし笑顔にする力を持っているため、困られている方の力となることができるようこれからも研鑽を続け進みます。

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