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・抜歯してインプラントをするしかありません
抜歯してインプラントをするしかないと言われ、歯を残したいと希望される初診患者さんが直近でも複数名来院されています。
インプラントには歯肉退縮によるインプラント体（骨に埋め込むネジ部分）の露出など将来的に読みきれないトラブルが生じる場合があり、また、オペにリスクがあることや高額であること、オペまでの不安によるストレスを考えると、私はできれば生涯自身の歯で笑い食事をしたいですし、できればインプラントは受けたくない、しなくてはならないとしても可能な限り遅らせたい治療です。
そのため当院では”私たち自身が受けたい治療を”というコンセプトのもと、歯科医師となり２０年以上をかけ可能な限り歯を残すことができるよう努めてきました。
私たちのインプラントへの考え方をお伝えさせていただきます。
抜歯と宣告されても歯を残すことが可能な場合がある
痛みがないけれども抜歯・インプラントを勧められ不安になり来院される患者さんが少なからずいます。
歯科医院はそれぞれ医療コンセプトも技術も得意分野の有無も異なります。
矯正だけを行う医院、顕微鏡や拡大鏡を用いず一般歯科治療を行う医院、抜歯やインプラントを得意とする医院、歯や神経を残すために精密な歯科治療を行う医院など様々です。
歯科治療にはむし歯、歯周病、根管治療、かみ合わせ、矯正、インプラント、口腔外科、予防歯科など様々な治療分野があります。歯や神経を残すことを考えるのであれば一般歯科治療だけではなく、また、なにかの分野だけでもなく、あらゆる分野において質の高い治療を受けることが求められます。
私たちは精度にこだわり歯を残すための治療を行うだけではなく、患者さん個々のリスクに応じた予防歯科も行なう、未来へ歯を残すことを考える医院です。
歯を残すことをコンセプトとしているため状態が良くないとしても患者さんに状態を説明の上、希望されるのであれば残すことができるようトライしています。
結果、顕微鏡下での治療や精密な根管治療を行うことで抜歯せずに済む場合が少なからずあります。
ただ、治療により歯を生き返らせられる訳ではなく、私たちは現状に対し最善を尽くすことしかできません。
歯根が破折している場合などにより抜歯せざるを得ない場合がもちろんあります。
その際にはインプラントも選択肢として長期的なビジョンのもと”抜歯＝インプラント”ではなく他の選択肢と共にメリットデメリットをフェアに説明しています。
インプラントへの考え方
現在都内ではオペにより麻痺などの事故にあった方や、亡くなった方がいるという情報等により近い方からインプラントはやめておけと言われ、 ”インプラントは考えていません” とはじめから言われる患者さんが増えています。
当院は上述のように歯を残すための精密な歯科治療に集中してきたため、そしてインプラントオペは患者さんにとってリスクのある内容となる場合があるため、オペに関してはスペシャリストをご紹介しています。
全てを抱えるのではなく専門分野との連携による総合的な治療を行っている理由をご説明します。
レーシック治療を受けたい
以前にも書いていますが私がレーシックを受けなくてはならない状態になったとします。
目は歯と同様に大切なものです。
事故がなく、その時が良ければ良いのでもなく、未来の目の状態まで考えてくれる先生に私は治療をお願いしたいと思います。
ただ、どの医院にかかれば良いのかを知ることができません。
以前にレーシックが問題となったように売り上げや利益を考え”多少状態が悪くてもオペをしてみる”ということがないとは言い切れません。
周辺同業と比べ口コミ件数が突出して多い場合も業者による広告投稿の可能性があるため素直には信用できず、人から評判を聞きどこにかかれば良いのかを調べますが自身の状態や望みに合う場合と合わない場合があり、それを踏まえ受診しなくてはなりません。
探したとしても”眼科医が自身のレーシックはあの先生に任せれば大丈夫という、レーシックを専門とする眼科医”に私が紹介なく出会える可能性がとても低いと感じるように、インプラントにおいても技術が飛び抜けている先生に患者さんが出会いたいと思ってもどこにかかれば良いのかわからないと思います。
つまり私がかかりつけの眼科に通っている中でリスクのあるオペが必要になった際、その眼科の先生から ”レーシックは選択肢であり状態を考えると少しリスクがあるけれども日常を豊かにします。希望されるなら専門とする眼科医を紹介します” と言っていただけることがあれば安心です。
歯科は眼科と異なり、症例写真によりどのような治療の質に治療を行なっているのかや完成イメージを持ちやすいためまだ医院を探しやすいと思います。（”引越しをされる患者さんへ”に私が感じる歯科医院の探し方を書いています）
それでも飛び込みでお願いするには不安を伴います。
歯は大切なものですからご自身が何を望まれているのかを考え歯科医院を探されることをお勧めします。
近いから、通いやすいからという理由も一つ。
ただ、”歯医者であればどこでも同じであり、内容は変わらない” というものではありません。歯科医師の得意分野の有無や経験数、治療歴でも受けられる治療の質は異なるため、症例写真にて情報を得られる現在では困られている患者さんは歯科医院を探し受診されています。
当院は歯を残したいという思いのある多くの患者さんに通っていただいていますが、歯の状態にもよるため全ての方のあらゆる希望に私たちが応えられる訳ではありません。ただ、場当たり的な治療を行うのではなく精密な審美治療と予防を含む総合的な歯科治療により可能な限り現状を維持することに努め信頼していただける患者さんと１０年、２０年を共に歩むことができたらと考えています。
インプラントが必要となった患者さんに安心して治療を受けてもらえる環境を
どこの歯科医院でもインプラントを行なっているように私たちもインプラントを行えるため当院にてオペを受けることができれば患者さんのストレスは少なくすみます。
また、インプラント治療費は高額であるため自身でオペまで行えばそれだけの医院の売上となります。
ただ、私たちは専門性が高く患者さんにリスクを背負わせるオペであれば、そして高い質の診療を行えるのであれば、全てを抱えるのではなく専門医との連携を積極的に行います。 矯正治療やリスクのある親知らずの抜歯も同様です。
当院がインプラントオペをスペシャリストに依頼する理由は自身や身内同様に大切な患者さんに安心、最善な治療を受けていただきたいと思うからです。
歯を残すことに特化し総合的な歯科治療を行う
インプラント治療を受けても、隣の歯を失えばインプラントを継ぎ足さなくてはならないため、患者さんは残る歯の保存治療においても高い質を求めています。
かかりつけ医として患者さんの歯を残すことを考えればあらゆる治療分野において精度にこだわる治療を行うことが求められていると思っています。
歯を残すためには、
・一つひとつの治療の質で歯の寿命を変える
・歯周病やむし歯、かみ合わせなどの抱えるリスクの管理
・中長期で生じる口腔内状態の変化に応じる重症化予防
が欠かせられません。
保険外診療での高い治療費に見合う精度ではない場合や、ただクリーニングを定期的に受けるだけでも歯を守れない場合が多々あります。
お口の中全体や未来の状態を考え、インプラントに関しても総合的な歯科治療の一部として質の高いオペを依頼し、当院では精密な歯科治療、かみ合わせや歯周病、その後のメンテナンス、そして他の歯を失わないための患者さん個々に応じる予防に努めることが現在の診療スタンスです。
インプラント治療の質
インプラントにおいても審美治療と同様に質は様々です。
むしろ歯肉や骨も影響するためセラミックスなどの治療より難しい内容となります。
オペに際し、例えば骨をつくらなくてはならない状態に骨をつくるということができなければインプラントを打てる部位に打つことで本来の理想的な歯の位置、形、かみ合わせとは異なる結果となります。
そのため当院がオペを依頼する歯科医は私自身にインプラントが必要となった際にお願いをする歯科医であり信頼する歯科医です。
”以前にインプラントを受ける医院を探してインプラントを受けました。ホームページにのっていたインプラント治療本数を見てその医院は経験があると思いました。”
ただ、数年が経つとネジ部分（インプラント体）が露出していたり、クラウンが合わない形であったりとインプラントオペに特化していたとしてもクラウンやかみ合わせ、審美的な完成は別物であり質が伴わない場合もあります。
だからこそ私たちには患者さんに自身が受けたい治療を提供するためインプラントオペに関しても”私が信頼する歯科医”ということだけではなく症例写真などの基準も合わせた歯科医をご紹介しています。
”歯を失う＝インプラント” ではない
インプラントに関してはオペをしてから１０年、２０年周囲に変化がないことが当たり前ではなく、そして骨と結合するため対応が困難な場合も生じる可能性があるため、ブリッジや入れ歯も含めフェアに選択肢を説明しています。
その方の年齢や口腔内状態、今後２０年後を見据え今なにが最善と考えるのかも説明をしています。
豊かな日常を送ってもらうために歯や口腔内の現状とそれぞれの治療のメリットデメリットも理解して納得していただいた上で一緒に歩むことを第一に考えています。
いずれにしろ歯を抜かずに活かすことができればそれが患者さんにとって最善と考えているため、まずは可能な限り歯を残すことができるよう努めています。
インプラントは素晴らしい治療です。
入れ歯にしなくて済みますし、前後の歯を削ることに抵抗がある方にブリッジという治療法の代替案となるからです。
ただ、まずはオペが無事に終わるため術前診査や計画がとても重要ですし、インプラントをすれば終わりではなくいかに長く良い状態で維持させられるかも考えなくてはなりません。
以前に他院にてインプラントをした患者さんは、現在でも問題がない場合ももちろんありますし問題が起きている場合も多々あるという現状を私は見ているため私自身はやはり歯を大切にして生涯インプラントを受けずに過ごしたいと思っています。
価値観や口腔内のリスク、日常に不便を感じられているかどうかなど人それぞれです。
歯を失い困られている方には日常の豊かさ、何を大切にしたいのかなども相談しながら１０年、２０年先を一緒に見て診療に取り組んでいきたいと考えています。
歯を残したい、残すためにも精密な審美治療を受けたい、前歯を治したいなどの思いがある患者さんに来院していただいており予約をとりにくい状況となっています。
かかっていただいている患者さんの診療を優先するためセカンドオピニオンの受付は中止しています。
また、当院にかかられていてインプラントが必要になった患者さんにインプラント専門医との連携を案内しています。
当院にかかられていない方に電話等でお問い合わせをいただいても紹介先はご案内していませんので予めご了承ください。
予約をとりにくい状況が続きご不便をおかけしていますが、予約改善のための勤務医を雇用していない理由についてにも書いているように歯医者であれば歯を任せるのは誰でも良いと私自身が治療を受ける際に思えないため、関われる患者さん数は限られてしまいますが信じて任せていただける患者さんに応えることができるよう、これからも一人ひとりの診療に集中して取り組みます。
予約を取りにくい状況の中、皆様には日頃からご理解をいただき感謝をしております。
・仮歯の質は、完成の質を表す 前歯セラミックス治療
複数本の前歯やブリッジなどの大きな治療ほど仮歯が大切になります。
今回は仮歯の重要性についてお話しします。
仮歯の質は完成するセラミックスの質を表すものとして、当院では治療中の過程も大切にしています。
前歯は笑顔や第一印象の一部となるためとても大切なものです。
セラミックスであれば綺麗というものではなく、そのセラミックスをどう活かすかを当院では考えています。
患者さんは誰もが自然であり綺麗な完成を望んでいます。
そのような完成をつくるため当院では仮歯で厚み、長さ、大きさなどの印象を詰め、完成イメージを患者さんやセラミックス専門の技工士と共有した上でセラミックスを作製しています。
仮歯は大きな絵を描く際の下書きのようなもの
特に複数本数の治療の場合、仮歯を患者さんが気にいることがなければ、また、仮歯の質が低ければどのような完成になるのか患者さんは不安を感じます。
実際に完成したセラミックスに納得できず、新しくつくってほしいと初診来院される方はとても多くいらっしゃいます。
完成の質を仮歯は表す
前歯の治療を受ける際には、どのような審美的なイメージを歯科医師がもって治療に取り組んでいるのかを術前に症例写真にて確認することが大切です。
セラミックス治療にも精度や質があり、セラミックス治療＝審美治療ではないため、どのような治療を受けたいのか、どのような治療を受けられるのかを確認してから受診することが現在ではスタンダードとなってきています。
当院では１本の歯を見るのではなく、口腔内全体を診て自然で笑顔と調和する完成をつくることを目標としています。
口腔内全体を見て専門的な審美治療を行なう医院の多くは症例写真を出しているため、前歯や複数本数の治療を希望される方は術前にどのような治療を受けられるのかを確認することをお勧めします。
当院では治療の質や審美的なイメージを症例写真で明示するだけではなく、完成イメージを患者さんと治療中も仮歯にて共有し、喜んでいただける治療結果をつくることができるよう努めています。
セラミックスの再治療を希望された患者さん
上下ともに同じ術前写真ですが下は緑色の線にて患者さんが感じていた違和感を示しています。
術前の写真もセラミックスによる治療ですが、色が浮き、歯肉との際に段差があり審美的に不調和を感じさせ、かつ４本とも顔の左側に歯の軸が流れていることで、顔が曲がっているような違和感（縦の長い線は正中・体の真ん中を示しています）を会話する相手に覚えさせてしまう状態でした。
セラミックスが完成した後に患者さんは感じます。
もう少し厚みがなく、出っ歯にならないようにできなかったのか。
人工的ではなくもう少し自然な色でつくってもらえなかったのか。
大きくぼてっとした形ではなく天然歯のような形でつくることはできなかったのか。
歯肉との段差や際の暗さがでないようにできなかったのか。
歯並びを合わせる完成はつくることができなかったのか。
１本の修復であっても治療の仕方で厚みや修復物の寿命、色や質感は変わりますが複数本数の治療となると難易度は上がり笑顔との調和も求められます。
上記のような思いを患者さんにさせることのないよう当院では仮歯にて完成のイメージを共有しているのです。
術前
治療開始日に仮歯に置き換えた写真
仮歯にて厚みや軸、サイズを確認します。また、笑顔に調和しているかも確認します。
この状態で根管治療を行うため治療期間はかかりますが日常に支障はないように努めています。
セラミックスクラウンの完成です。
仮歯で歯の長さや形、厚みや軸が合っていると、あとはそれを技工士がトレースするように完成をつくることができます。
笑顔や綺麗に見える、口元に合う仮歯がなくては情報が足りず術前の写真のように曲がった完成となったり、技工士頼りの完成となってしまいます。
仮歯の時点で厚みがあれば多くの場合で完成も同じかそれ以上の厚みとなるように、仮歯にて完成のイメージを共有することが患者さんにとって安心となるため仮歯にも質が求められるのです。
複数本数の治療は上述のように難しいものである上に、いつか１本でも再治療が必要となった場合には大きな問題となるため審美的なことはもちろんのこと、長持ちをさせることができるよう根管治療、歯周病治療、かみ合わせ等、関わる治療全てにおいて精度を高めることができるよう努めています。
歯肉や歯と調和させるための型取り シリコン印象
最近では光学印象という撮影による型取り法もできるようになってきていますが、当院では導入していません。
歯肉との際に段差が可能な限りない完成をつくることが歯周病進行や歯肉の退縮を抑制し、なにより生え際に生じるセラミックスとのギャップによる見た目の違和感を起こしにくい完成をつくりたいと思っています。
安価ではないセラミックス治療ですから、患者さんにも喜んでいただけるよう私自身が受けたい治療を行なっています。
年数が経過しても可能な限り自然できれいな状態を維持し、可能な限り再治療しないで済む治療を行いたいと考えているため精度の高いシリコン印象法を当院では行なっています。
仮歯とは言え、それは完成の質を左右するのです。
当院ではセラミックス治療の完成に納得していただけるよう完成イメージを過程において共有し、患者さんとセラミックスを専門とする技工士と完成を共につくることができるよう努めています。
この患者さんは審美歯科にて前歯を６本削り、セラミックス治療を受けた方です。
歯の軸は曲がり、サイズも正方形のような形であったり統一感がなく、かつセラミックスが連結されているケアが難しい完成であり、歯肉との境界の不適合なセラミックスの部分、歯肉に隠された生え際にはむし歯がある状態でした。
左上前歯が膿んできたこともあり再セラミックス治療を希望されました。
歯肉の中の歯根にあるむし歯に治療を行い根管治療や歯肉の形を整えた上で、第一印象に重要な前歯のサイズや軸を合わせセラミックス治療を行いました。
複数本数の治療は口腔内全体はもちろんのこと、表情までも診る治療が求められます。
患者さんに現状の説明と提案を行いゴールを共有して進む治療を行うよう努めています。
・セラミックスクラウンについて
歯の形を整えた後精密な型取りを行い、歯の色も極力合わせることができるよう他歯の写真を撮影、次回完成となります。精密な治療とセラミックス専門の技工士により天然歯を再現するような完成を目指しています。
いつかむし歯の再発が起きたり、セラミックスが欠けるなどのことがあれば再治療が必要となる場合があります。保証制度を設けておりますので治療前にご確認ください。
治療回数は３回 治療期間は７日〜３週間 （ただし根管治療等が必要な場合には回数がかかります）
治療費100,000〜160,000円(税・コア代別）
受けたいセラミックスのクラスを“治療費について“ページにてご確認ください。また、根管治療やコアの治療回数、治療期間、治療費を含んでいませんのでご注意ください。
ファイル折れ込みにより抜歯に？ 顕微鏡を用いる歯科治療・根管治療
一般的な根管治療ではファイルという器具を用いて根管内の感染を搔き出すように取り除きます。
稀にその金属製のファイルが根管内で食い込むように折れてしまうことがあります。
当院来院のきっかけは一番奥の歯の歯髄炎によるズキズキを解決したいということでしたので先に奥のブリッジ治療を保険にて終えました。食べ物も奥歯にはさまらなくなり喜んでいただいていたところ、しばらくして一つ手前の歯が腫れてきました。
以前に他院にて根管治療を受けられた際に折れ込んだファイルが根管内にあります。
周囲の骨の中でその歯が原因の炎症が強くなり、歯肉が化膿により腫れ、噛むと痛むという自覚症状がでてきてしまったため根管治療を行うことにとなりました。
上下ともに当院初診時のレントゲンです。
下の写真は奥歯のブリッジ治療が終わり、ファイルの折れ込みや歯肉の腫れがある歯を治療するため銀歯とメタルコア（金属の芯）を除去したところです。
顕微鏡を用いしっかりと見える環境下にて、健康な歯を削らないようメタルコアを切削除去しました。
残っている白い筋が折れ込んだ金属・ファイルです。
ファイルの破折は多くの歯科医師が経験すること。折れ込んだファイル自体は滅菌をしてあれば感染源になるものではないため根管治療が奏効するのであれば、必ずしも除去しなくてはならないものではないと考えています。
ただ、今回のケースではだいぶ前から根管に取り残された金属片に感染源が付着している可能性があり、また、長く根管内に金属片が食い込み根管が塞がれている状況であったため、歯根の先端まで可及的に感染源を除去することができるよう金属片の除去を試みました。
下の写真は顕微鏡下で食い込んでいた金属片を除去したところです。
レントゲンでは歯根の先で歯が割れている像にも見えるのですがファイルを除去後、顕微鏡下で歯根内が割れていないことを確認し（漏洩もなし）、幸いにも膿瘍や感染による症状を消退させることができました。
今後、根管内を緊密に充塡しファイバーコアを立て経過をみます。
今回、ファイルを除去することができなかった場合には抜歯となる可能性がありました。長く歯根に食い込んでいたファイルを極力歯にダメージを負わせないよう心がけながら除去し、結果的に破折や穿孔などの致命的なダメージもなく、幸いにも歯を抜かずに残すことができました。
根管治療が必要とされる歯にはそれぞれ様々な状態・トラブルがありますが、精密根管治療では保険治療での根管治療と異なる質の治療を行うことができるため、歯をより良い状態で残せるよう努めています。
根管治療だけでなく。
この歯を抜歯をせず残せることとなりましたが歯としてはかなり傷んでいる状況ですので、少しでも長く歯を残していくためには根管治療だけが重要な訳ではありません。
その後のコア、セラミックスなどのクラウン・被せ物、もちろん歯周病治療やかみ合わせ。
それぞれが高い質で行われることにより歯の寿命が変わるため、当院では精度や質にこだわる総合的な歯科治療を提供できるよう努めています。
・マイクロエンドについて
根尖の炎症や抜髄時に行う根管治療においてマイクロエンドを受けていただくことが可能です。むし歯を除去し必要に応じて隔壁をEDTA処理後に行います。ラバーダムにより根管内に唾液や細菌が入らないよう防湿し、顕微鏡を用い根管内の細菌感染を可及的に取り除きます。唾液にまみれた状況で行われる根管治療と異なり良好な予後、早期の治癒を望める可能性が高まります。また、穿孔やファイルの破折にも対応できる場合が多々あります。
根管治療は歯の基礎です。当院では精度の高い治療だけではなく歯を守る為根管治療にもこだわりを持って取り組んでいます。
歯の状態にもよりますが破折している場合や難治性の病変の場合にはマイクロエンドを行っても奏功しない場合があります。また、マイクロエンドを行っても一生再度の根管治療を行わなくてすむものではありません。通常の根管治療同様使用する器具が根管内で破折する場合があります。（当院では用いるファイルは全て滅菌処理をしています）
治療期間は１日〜３ヶ月、治療回数は通常１〜５回。
治療費は前歯で40,000円〜45,000円。小臼歯で50,000円〜55,000円。大臼歯で70,000円〜75,000円。
根管治療終了後、別途保険外でのコア、クラウン代がかかります。
穿孔封鎖、ファイル除去では別途10,000円をいただきます。
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